obacanの日記

コーヒー、文具、木村カエラ。

ひとと道具の正しい楽しい出会いは、豊かさのきっかけになる。

初心者は使いやすい道具に恵まれないからむずかしいという話

今朝菓子を焼きました。卵の白身とアーモンドパウダーで作るダクワーズ。バターなどがいらないのでヘルシー……っぽい? まあ、それはおいておきましょう。

使用した道具は、母がケーキ作りをしてたころに揃えていた、ケーキ用の小さくやわらかいゴムべら、ハンドミキサー、機械式粉ふるい、しぼり袋と口金、茶こし、冷まし台、など。焼いたのは大きなオーブンレンジで。実家ならでは。

いずれも、一般的には男のひとり暮らしでは持ってないものですね。代用品は、料理用のゴムべらやしゃもじ、泡だて器、ビニール袋の角を切ったもの、ザル、灰汁すくい、洗い桶、トースター、くらいでしょうか。僕も一人暮らし当時、ハンドミキサー以外は持ってなかったです。

お菓子作りなんてふだんやらないんですけど、やらないことをやってみようとすると、初心者は道具がそろってない。同じ初心者がなにかしようとするとして、使いやすい道具と使いにくい道具とどちらのほうがストレスなく上手にできるかというと、そりゃ使いやすい道具を使ったほうがいいにきまってますね。初心者は道具についての情報も持ってないから、選ぶのも難しい。そもそも道具の存在も知らないかもしれない。使っていてはたしてこれが使い易い道具なのかどうかもわからない。

初心者はつらい。とにかく、わからない。でも道具は必要なのです。

うまくできないのが知識の欠乏のせいなのか初心者には難しい分野なのか道具のせいなのか、それともそもそもうまくできているのかいないのか。自分は初心者の中ではうまくいってるほうなのか下手なのか、向いてるのか向いてないのか。

趣味って道具が必要で、仕事にも道具が必要で、使いやすい道具を使うか、難しいけど使いこなしたら凄いよくなる道具を使うか、自分に向いてる道具か否か、誰にとってもクソみたいな道具を使っちゃうか。趣味の楽しさも、仕事の出来も、変わってくる。

道具の知識は、俺は道具をつくるプロになりたいのだから、楽しんでどしどし身に着けていきたい。あ、これはこちらの話です。

あ、ダクワーズは簡単においしくできました。ただし……

今日のだと卵白M1個分に砂糖30gを加えつつメレンゲにして、薄力粉5gとアーモンドパウダー20g(100均、Seriaで20g売ってた)をふるい入れて、さっくり混ぜてオーブンシートの上にしぼり袋で適当なサイズに薄く延ばし、粉糖を全体にふるって透明になったらもう一度ふるい、160℃余熱のオーブンで20分焼いた。しばらく湿度をとばす。シートから剥がす。菓子だけど分量は適当で大丈夫なやつ。ふつうはバタークリームや生クリームなどサンドする菓子らしいです。おいしくできました。

初めての時にもおいしくできました。今日は二回目で、もっとおいしくなりました。これはたぶん、母の道具と実家の広いキッチンが使えたからです。

道具(と環境、これも広い意味で道具かな)が揃ってるから俺のような初心者でもかんたんだった、と、いえなくもないというか、たぶんそうです。一人暮らしの狭いキッチンで道具も使いにくい、というなかで同じことをやろうとしたとすると、たぶん、疲れるしムカつくし時間かかるし、満足感の高い仕上がりにも結び付きにくいでしょう。比較的、という話ですし、「たぶん」ベースの話ですが、まあ、ふつうに考えるとそう思えるかなという感じです。

ところで話はInstagramに飛びます。食わず嫌いが治ったという話。

iPhoneを食べたわけではないです。インスタグラムの、「手軽でそれっぽい感じに」が苦手だったという話です。なんとなく苦手で、食わず嫌いしていました。それを最近ちょっと使ってみるようにしたら、評価がかわりました。いまは好感のもてるアプリだと思ってます。

もうおなじみといえばおなじみのものですが、一応Instagramについて説明すると、iPhoneのアプリです。Facebookに買収もされた写真関連のソフトウェアで、真四角な写真に魅力的な画像効果をワンタッチで与えて、フォロワーに見せることができます。

写真に効果を与えるなんて、もともと、銀塩フィルムカメラだったら現像のときのいろんな色調整、デジタルならばPhotoshopIllustratorなどのソフトウェアの操作の技能を習得することが必要でした。*1本来そういう分野だったところに、「お手軽に『それっぽい』写真をつくってしまえる」という機能が、なんか、いやで、食わず嫌いしていました。

それがちょっと最近かわって、価値を生み出す道具という認識になりました。

「それっぽい」という表現で認識してきたけども、結局それは「目に入ってきたとき快適」な写真ということなのではないかと思って、だったらそれは社会に対して同じ価値を低コストで提供できることになる、社会的に経済である、ならいいことじゃないか、と。

Instagramも道具のひとつです。それも非常に使い易い道具です。そりゃあ専門技能を習得したプロが産みだす効果のほうが優れているだろうけど、だけどもそれってつまり、上級者による生産の囲い込みであって、「ケッ素人が『いかにも』な写真を公開しやがって、しかもそれを見る連中もそれを『いいね』なんて言ってやがる、気に入らねえな」につながりうる考え方なんである。

それって、やっぱ、だせぇんじゃねぇの?

写真の撮影者が気分よくなれて、目にする側も快適を感じるなら、進化じゃん。

って思い至ったわけなのでした。

http://instagram.com/p/hiaKQeHJ9z/
卵黄納豆で余った卵白を菓子にする暇人
http://instagram.com/p/iH_fUUnJ7T/
実家だと道具揃ってるからほんとやりやすい

このInstagramは先日のと今日のとです。ダックワーズです。初心者は頻度と回数!

ひとと道具の楽しく正しいマッチングは、楽しいし正しいゼ!

スマートフォンの無料アプリという形で配布される道具が使い易いことは豊かな社会につながる。初心者が上級を目指そうというきっかけになるとすればある種の生涯基礎教育でもある。
なんとなくアプリを使い始めたことによって、新しい趣味の発見という現象が生じるのは楽しい構造だ。新しい趣味に道具が必要なとき、それがうまくマッチングされることは正しい仕組みだ。

というふうに、表題の結論に至ったわけでございます。とくに、スキルのあまりないひとに、安くて手軽でちょっとよい成果をもたらす道具の供給をするというのは、素敵な商売だなぁとか、いいなぁ、やりたいなあ。

俺はそういう方向でがんばれたら嬉しいな。あ、ひとりごとです。

下書きはこちら:
atishida - 初心者は使いやすい道具に恵まれないからむずかしいという話 http://atishida.tumblr.com/post/70545998082
atishida - 追記、 わすれてた、Instagramの話が書きたかった。 http://atishida.tumblr.com/post/70562335930/instagram

*1:いや、Windows標準で昔からエンボス加工とかできましたけど、あまりに魅力的でなかったし、スマートフォンによる撮影即エフェクトづけ即公開、とは手間が違い過ぎて本質的に機能が異なるものだといえるでしょう。